
SPD(Supply Processing and Distribution)は、医療材料や医薬品の管理業務を効率化するための手法です。運用形態には、病院スタッフが一貫して担う「自院運用」と、外部事業者に業務を委託する「外部委託運用」があります。
本記事では、外部事業者へ委託する運用形態に焦点を当て、「院内SPD」と「院外SPD」の違い、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
院内SPDと院外SPDは、いずれもSPDの運用形態の一つで、運用方法や保管場所・補充の仕組みに違いがあります。院内SPDは病院の中に専用倉庫を設置し、そこから直接補充・払出を行う方式です。院内倉庫から数分~数十分で即時補充できるため、急ぎで物品を取りに行きたい場合もすぐ対応できる緊急時の即応性に優れます。
一方、院外SPDはSPD事業者が保有する外部倉庫で在庫を一元管理し、病院の指示に応じて必要な物品を配送・補充する方式です。病院内に倉庫を設ける必要がないため、スペースが限られた施設でも導入しやすいのが強みです。
倉庫が院内にあるため、緊急時の即応性を維持できるのが最大のメリットです。必要な物品を数分~数十分で補充することができます。
なお、運用方法は主に院内完結型、外部委託型、ハイブリッド型の3つがあります。それぞれのメリット・デメリットについても紹介します。
SPDシステムや運用体制を自院内に整備し、在庫管理から供給までを病院スタッフで一貫して行う方式です。外部委託せずに全工程を自院でコントロールできるため、細かな運用変更にも即応できます。
院内に専用倉庫を設置しつつ、在庫管理やシステム運用を外部業者に委託する方式です。自院のスペースを活かしながらも、専門的な管理ノウハウを外部の力で補える点が特徴です。
購買(調達)は自院が担い、その他の在庫管理・補充・納品のみをSPD事業者に委託する方式です。調達権限を保持しつつ、物流や棚卸などの負担を軽減できる点が大きなメリットです。
SPDを自院で運用する場合、現場に合った柔軟な対応ができる反面、人材の確保や育成が必要で、システム導入や人件費などのコスト負担が大きくなります。また、担当者に業務が属人化しやすく、安定した運用体制の維持が難しくなるというデメリットもあります。
委託先によっては、現場の要望に柔軟に対応しにくくなります。業者との調整に時間がかかり、即時対応が難しくなることがあります。スタッフとの情報共有が薄れ、連携が取りづらくなる点も課題です。また、自院にノウハウが蓄積されにくく、業者に依存した運用になりがちというデメリットもあります。
役割分担が複雑になりやすく、院内と委託業者の間で業務範囲が曖昧になると、責任の所在が不明確になってトラブルにつながることがあります。また、連携や情報共有の仕組みをしっかり整備していないと、運用が非効率になりかねません。
外部倉庫で集中管理することで、複数の部門や診療科での共同購入や、物流効率化によるコスト圧縮が可能。専門業者のバーコード管理により品質と安全性が向上し、スタッフ負担が大幅に軽減します。
導入後の毎月の利用料やオプション費用など、外部委託コストが発生。また、外部委託はSPDのノウハウを院内に蓄積することが難しいことや、委託業者との契約管理やKPIモニタリングなど新たな体制構築が求められます。
院内SPDは短時間での物品補充、院外SPDは倉庫設置不要で省スペース・コスト抑制が強み。自院の課題やスペース状況を踏まえてスピード重視かコスト重視かを比較検討し、最適な方式を選定しましょう。
当メディアでは、「SPDサービスを導入したが期待していた効果が得られなかった」といった失敗を防ぐために、「診療材料費の削減」「手術室も含めたスタッフの手間の削減」「倉庫スペースの削減」といったSPDサービスを委託する目的別におすすめの事業者をご紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
ここでは、SPDサービス導入のよくある目的別に各事業者の強み、他社との違いやおすすめの病院をまとめました。