
病院経営において、医療材料や消耗品などの物品管理は、人的リソースの浪費や、過剰在庫・在庫切れによるコスト増などのリスクが発生しやすい領域。この院内物流を最適化する手法が「SPD」です。本記事では、SPD業務の基本、自院運用と外部委託を比較した際の違いをご紹介します。
SPD業務は、院内で使用する物品の発注・入出庫管理・保管に加え、有効期限やロット管理といった品質管理、さらに消費データの収集・分析までを一括で担う業務です。 これらの業務を外部に委託することで、プロセスの標準化・可視化が進み、物品管理の効率化やコスト削減が期待されます。
各部署で使用する物品の在庫数の確認や発注、納品後の片付けなどを医療スタッフが担うため、患者対応や投薬管理など本来の業務に割く時間が大幅に削られます。
負担の増大は医療スタッフの疲弊やミスの増加を招き、医療の質低下につながる恐れがあります。
物品の消費データが一元管理されないと、過剰在庫による廃棄コスト増加や、在庫不足・欠品による処置・治療遅延などの問題が発生する可能性があります。特に在庫不足や欠品が原因で、緊急時に必要な処置や治療が間に合わなかった場合、患者の安全を直接脅かす事態につながりかねません。
SPD業務の運用ルールが特定の担当者の経験に依存すると、担当者が異動や退職になった場合、業務が滞るリスクが高まります。
また、属人化した業務はノウハウが組織内で共有されにくいため、担当者が変わると発注精度にムラが生じやすくなります。
SPD業務の運用方式は、自院で担う方法と、専門業者に委託する方法に大別されます。以下では、両者の特徴を明確にするため、コスト・業務安定性・教育負担などの観点から比較を行います。
自院運用 | 外部委託 | |
---|---|---|
コスト | 人件費やシステム開発費、在庫管理に伴う廃棄ロスなど、見えにくいコストが発生しやすい | 委託費用は発生するが、専門的な管理による在庫の最適化や廃棄ロスの削減により、全体のコストを抑制しやすくなる |
業務の安定性と属人化リスクの回避 | 業務が特定の担当者に依存する「属人化」に陥りやすい | 標準化された業務ノウハウがチーム全体に共有されているため、欠勤、異動、退職など人員の変動があっても対応しやすい |
人員教育 | 物品管理の専門スタッフを育成する必要があり、時間と教育コストがかかる | 専門的な研修を受けたスタッフが業務を担当するため、病院側での教育は不要 |
サポート体制 | スタッフの急な欠勤などに対し、院内の人員だけで対応しなければならない | 万一の事態でも、業者側が代替スタッフを派遣するなど、業務を止めないためのサポートを行ってくれる |
導入期間 | 業務フローの構築からシステムの選定、人員配置まで、運用開始までに長期間かかる | 確立されたパッケージやノウハウを活用するため、比較的短期間でスムーズな導入が可能 |
※自院運用でも体制が整っている場合は柔軟性や独自運用の利点があります。
上記の比較から分かるように、自院運用には多くの見えにくいコストやリスクが伴います。一方、外部委託は単なる業務のアウトソーシングではなく、専門家の知見とシステムを活用して病院経営の質を高めるための戦略的投資です。
外部委託によるSPD導入は、現場スタッフの業務負担軽減と運用の安定化、経営効率の向上という3つの成果をもたらします。適正在庫が維持できない、医療スタッフの負担増加などの悩みを解消する専門業者へ委託して、健全な病院運営を行いましょう。
ここでは、SPDサービス導入のよくある目的別に各事業者の強み、他社との違いやおすすめの病院をまとめました。