病院経営の安定化にはコスト構造の見直しが欠かせません。中でも注目されているのが、医療材料費の最適化です。本ページでは、支出割合の大きい医療材料費の現状と、専門サービスを活用したコスト削減の実例をご紹介します。
日本病院会が公開している情報によると、100床あたりの病院運営にかかる平均費用は2,991,234円でした。 そのうち、医療材料費が占める割合は28.84%です。内訳を以下にまとめています(※割合は編集チームが算出/小数第2位で四捨五入)。
| 項目 | 金額(円) | 割合(%) |
|---|---|---|
| 給与費 | 1,430,580 | 47.83 |
| 医療材料費 | 862,580 | 28.84 |
| 委託費 | 207,033 | 6.92 |
| 設備関係費 | 256,608 | 8.58 |
| 研究研修費 | 8,674 | 0.29 |
| 経費 | 170,000 | 5.68 |
| 控除対象外消費税等負担額 | 43,316 | 1.45 |
| 本部費配賦額 | 12,444 | 0.42 |
少子高齢化の進行により医療ニーズが増加する一方、診療報酬の抑制傾向や医師・看護師の人材不足により、病院経営は年々厳しさを増しています。支出割合が最も高いのは給与ですが、人材確保やモチベーション維持に直結するため、安易に削減できません。
そのため、給与費に次いで支出割合が高い医療材料費のコスト削減が重要視されているのです。製品単価のばらつきや購買の属人化により、不適切な支出が生じやすいため、購買条件の見直しや体制の見直しを行いましょう。
コスト最適化の取り組みを進めるには、購買条件の見直しや管理体制の見直しが欠かせません。しかし、メーカーやディーラーとの価格交渉には専門的な知識や交渉ノウハウが求められるため、日々多忙な医療従事者にとっては大きな負担となるでしょう。
そのため、医療物流の最適化を専門とする医療SPDサービスの活用が推奨されます。医療SPD業者は、使用実績データに基づいた分析や相場比較を行い、プロの視点で価格適正化や調達戦略を支援します。
管理体制の見直しも一括して任せられるため、医療の質を担保しながら経営改善を進められる有力な手段です。
約400床の総合病院における事例です。SPDの対象として見直した医療材料の総支出額は約50億円。
医療SPDサービスを活用して、病院全体のコスト構造を見直した結果、6年間で約3.6億円のコスト削減に成功しました。7年目となる現在は取り組み範囲を拡大し、事務用品や消耗品、委託契約などのコストも見直しています。
約800床の医療センターにおける事例です。SPDの対象として見直した医療材料の総支出額は約10億円。法人本部の主導のもと、医療SPDサービスを活用してコスト最適化プロジェクトを推進した結果、5年間で約1億円のコスト削減を実現しました。
プロジェクトの起点は、「低コスト体質の定着」を目的とした院内体制の再構築です。長年形骸化していた委員会組織を再編し、SPD業者をオブザーバーとして参加させることで、実効性の高い意思決定が可能となるよう権限を強化しました。
約200床の病院における事例です。コストが高い整形外科の手術材料(約8,400万円)の見直しを行った結果、約1,400万円の削減に成功しています。
成功要因は、手術件数が多いTKA(人工膝関節置換術)をメインとして価格交渉を行ったこと。その後、省エネ設備への入れ替え、補助金の活用、業務プロセスの改善など、院内のコスト最適化を図る取り組みも実施しています。
医療材料費は、病院運営費の中でも大きな割合を占めているため、最適化を図る取り組みが経営改善に直結します。しかし、医療人材の人手不足が深刻化している中で、価格交渉や在庫管理を進めるのは難しいでしょう。
医療機関が人材リソースを最適配分するうえでも、調達や物流に関する専門業務は、医療SPDサービスのような外部プロフェッショナルに委ねるのが合理的です。
当メディアでは、「診療材料費のコスト削減」「手術室も含めたスタッフの手間の削減」「倉庫スペースの削減」といったSPDサービスを委託する目的別におすすめの事業者をご紹介しています。併せてご参照ください。

ここでは、SPDサービス導入のよくある目的別に各事業者の強み、他社との違いやおすすめの病院をまとめました。