医療機器のトレーサビリティ確保は、患者の安全と法規制遵守において重要です。2022年12月の法改正により、医療機器へのバーコード表示はすでに義務化されています。本記事では、SPDシステムの活用がいかに安全管理と経営効率化を両立させるかを解説します。
医療機器のトレーサビリティは、不具合発生時の迅速な特定と被害拡大防止に欠かせない生命線です 。令和元年12月の薬機法改正を受け、2022年12月1日から医療機器および体外診断用医薬品の販売包装単位へのバーコード表示が施行されました。
この規制の目的は、「医療事故の防止」「トレーサビリティの確保」「流通の効率化」の3点に集約されます。国際標準規格であるGS1-128バーコードを用いることで、製品の有効期限やロット番号をデジタルで正確に管理する体制構築が、すべての医療機関に強く求められています。
多くの現場では依然として、手術で使用した機器の情報を紙やExcelへ転記するアナログ運用が残っています。しかし、多忙な臨床現場での手書き運用は、記入ミスや請求漏れのリスクを常にはらんでいます。
厚生労働省が実施した「医療機器等における情報化進捗状況調査(2023年9月末時点)」によれば、主要なカテゴリーでバーコード表示率が9割を超えており、メーカー側の対応がほぼ完了していることが示されています。このデジタルの準備が整った環境下で、未だにアナログ管理を続けることは、医療安全上のリスクだけでなく、医事請求漏れによる経営的損失を放置していることと同義といえるでしょう。
現代のSPDシステムにおいて、世界標準である「GS1-128」バーコードやUDI(機器固有識別子)への対応は必須機能です。ハンディターミナルやスキャナーを用いて、パッケージのコードを読み取るだけで、製品名、ロット番号、有効期限などの情報を瞬時にデータ化します。
従来の手入力によるミスを軽減することが可能です。また、製造から販売・院内供給・最終的な消費までを同じコードで管理できるため、サプライチェーン全体を通じた追跡が実現可能です。
トレーサビリティの質を決定づけるのが、他システムとの連携性です。SPDシステムが単独で動作するのではなく、電子カルテや医事会計システムとシームレスにデータ共有できるかが重要となります。
使用された医療機器の情報をSPDシステム側でスキャンすると、そのデータが自動的に患者情報と紐づけられ、電子カルテに記録される仕組みが効果的です。誰に何を使ったかの追跡が容易になるだけでなく、消費した瞬間に医事請求データが生成されるため、入力の手間を省きつつ、請求漏れによる収益損失を防ぐことができます。
医療機器管理におけるリスクの一つが有効期限切れです。万が一、期限が切れた製品を使用してしまえば、医療事故に直結する恐れがあります。SPDシステムには、各製品の期限をデジタル管理し、期限が近づいた物品を一覧表示したり、アラートを出したりする機能が備わっています。
この機能により、現場スタッフが一つひとつのパッケージを目視で確認する負担が軽減されます。また、使用期限が近いものから優先的に払い出す先入れ先出しの徹底も容易になり、廃棄ロスの削減というコスト面でのメリットも得られます。リコール発生時には、特定のロット番号を指定して在庫状況を即座に把握できるため、迅速な回収が可能です。
医療機器のトレーサビリティ確保は、現場の負担軽減と医療安全を両立させるために避けては通れない課題です。SPDシステムを導入することで、法規制への対応が可能になるだけでなく、請求漏れの防止や在庫の適正化といった経営的な恩恵も得られます。
導入にはコストやフロー変更が伴いますが、長期的な視点ではそれ以上の価値を生み出します。自院の規模や優先課題を整理し、適切なソリューションの検討を進めましょう。

ここでは、SPDサービス導入のよくある目的別に各事業者の強み、他社との違いやおすすめの病院をまとめました。