SPDシステムを導入した後、運用を続けるうちに課題が表面化し、他社システムへの乗り換え(リプレース)や運用形態の見直しを検討するケースがあります。本記事では、SPDシステムをリプレースする適切なタイミング、新しいシステムや業者を比較検討する際のポイントを解説します。
導入から年数が経過したシステムは、動作が重くなったり、ベンダーの保守サポートが終了したりするリスクがあります。また、電子カルテや医事会計システム、オーダリングシステムといった他の院内システムとの連携が不十分だと、結局は手入力でのデータ移行や二重登録が必要になり、業務の非効率化を招きます。システムの連携不足により、正確な患者別原価計算が難しくなっているケースもリプレースのきっかけとなります。
SPDシステムを導入したものの、月額のシステム利用料や保守費用が経営の負担になっているケースがあります。また、システム上では在庫管理ができているはずなのに、現場での入力漏れや運用ルールの形骸化によって、過剰在庫や使用期限切れによる廃棄ロスが発生している場合も要注意です。
システムの機能が自院の規模に合っておらず、期待したほどの医療材料費の削減効果が得られていない場合、システムの入れ替えを検討するタイミングと言えます。
SPDシステムの目的の一つは、看護師など医療従事者が物品管理に割く時間を減らし、本来の患者ケアに集中できるようにすることです。しかし、システムの操作が複雑で現場の負担になっていたり、エラー対応に時間がかかっていたりする場合は本末転倒です。また、自院のスタッフでSPD業務を運用している場合、担当者の退職による属人化や、教育・採用コストが課題となることも多くあります。
SPD環境を見直す際、単に「A社のシステムからB社のシステムへ変える」だけでなく、運用体制そのものを見直すことも重要です。SPDの運用形態には、大きく分けて「自院運用」と「業務委託」の2つがあります。
自院運用は、SPDシステムのみを導入し、発注や納品確認、各部署への払い出しといった実際の作業は病院のスタッフが行う形態です。メリットは、外部委託費用がかからないことや、自院の都合に合わせて柔軟にルールを変更できる点です。
一方デメリットとして、専任スタッフの確保と教育が必要なこと、欠勤時の代替スタッフの調整など、人的リソースの管理負担が病院側にかかることが挙げられます。
業務委託は、システムの提供だけでなく、院内の物品管理・搬送業務そのものを外部のSPD業者に委託する形態です。メリットは、専門スタッフが作業を行うため自院スタッフの負担が大幅に軽減されること、教育や労務管理の手間が省けること、そして業務の属人化を防ぎ安定した運用が可能になります。
デメリットとしては、委託費用が毎月発生することや、院内に業者の作業スペースを確保する必要がある点です。
まずは、現在のSPD運用における課題を洗い出します。過剰在庫の金額、システムのエラー頻度、スタッフの残業時間などを具体的に数値化し、今回のリプレースで何を解決したいのかという目的を病院全体で共有します。この目的がブレると、後の業者選定で迷う原因となります。
明確にした目的をもとに、要件定義書(RFP)を作成し、複数のベンダーやSPD業者に提案と見積もりを依頼します。システムの機能一覧だけでなく、移行スケジュール、サポート体制、費用を含めた総合的な提案を受け、各社の強みと弱みを比較検討します。デモンストレーションを実施し、実際にシステムを使う現場スタッフの意見を取り入れることも重要です。
業者を決定したら、詳細な運用ルールの設計に入ります。発注のタイミング、納品場所、棚卸しの方法などを、新しいシステムや体制に合わせて再構築します。同時に、最も手間のかかる「マスタデータのクレンジングと移行」を行います。古いデータや不要な品目を除外して新しいシステムに登録し、テスト稼働を経て、問題がなければ本番稼働へと移行します。
SPDシステムのリプレースは、単なるツールの変更ではなく、院内物流の仕組み全体を見直す良い機会です。現在のシステムや運用に限界を感じたタイミングで、自院運用と業務委託のメリット・デメリットを再評価し、自院の経営課題を解決できるパートナーを慎重に選定しましょう。

ここでは、SPDサービス導入のよくある目的別に各事業者の強み、他社との違いやおすすめの病院をまとめました。