病院では、同じような機能や用途を持つ医療材料が、診療科や医師ごとに異なる銘柄・規格で採用されていることがあります。採用品目が増えると、品目ごとの在庫管理や保管場所の確保に手間がかかり、使用頻度の低い材料の滞留や、購買業務の非効率につながる可能性があります。こうした課題への対策の一つが、医療材料の標準化・品目集約です。
本記事では、医療材料の標準化・品目集約の基本的な考え方から、具体的な進め方、導入時の課題、SPDを活用した取り組みまで解説します。
医療材料の標準化・品目集約とは、医療上の安全性や必要な機能、使用目的、患者への適合性などを考慮しながら、院内で採用する医療材料の品目や規格を整理・適正化する取り組みです。例えば、同じ用途で使用できる複数の製品が院内で採用されている場合、品質や機能、使用感などを比較評価し、代替可能な品目を集約できるか検討します。
採用品目を適正化することで、在庫管理の負担軽減、保管スペースの有効活用、購買業務の効率化などが期待できます。
ただし、すべての医療材料を一律に統一できるわけではありません。症例や患者の状態、処置の内容によって特定の機能・規格が必要になる場合もあるため、医療現場の意見を踏まえて判断することが重要です。
採用品目が多い状態では、在庫管理や購買業務にさまざまな課題が生じる可能性があります。主な課題は以下のとおりです。
また、同じ用途の製品を集約できれば、購入数量をまとめられる場合があります。その結果、取引条件の見直しや価格交渉につながる可能性もあります。
ただし、品目数を減らすだけで必ずコストが下がるわけではありません。購入単価、使用量、在庫数量、供給の安定性などを総合的に評価することが大切です。
医療材料の標準化・品目集約は、単に採用品目を減らすのではなく、使用実態を把握し、医療現場の合意を得ながら進める必要があります。
まず、院内で採用している医療材料を一覧化します。製品名、メーカー、規格、製品コード・JANコード、購入単価、使用部署、購入数量、使用実績などを整理し、同じ機能・用途を持つ製品が重複していないかを確認します。
カタログ上の情報だけでは代替可能性を判断できない場合もあるため、実際の使用部署や担当者への確認も必要です。
次に、使用実績や購入実績をもとに、品目を集約できる可能性がある製品を抽出します。主な評価項目は以下のとおりです。
使用頻度が低いことだけを理由に品目を削減すると、必要な場面で材料を確保できなくなるおそれがあります。使用量だけでなく、医療上の必要性や緊急時の対応も踏まえて判断しましょう。
使用実績データが十分に整備されていない場合は、発注・購買履歴や在庫データを整理するところから始めます。
集約候補を抽出したら、代替品を評価するための基準を整えます。主な評価項目は以下のとおりです。
購入価格が安くても、使用する診療内容に適さなかったり、現場での取り扱いに支障が生じたりする場合は、適切な集約とはいえません。医師や看護師など、実際に使用するスタッフの意見を取り入れ、必要に応じて評価・試用の機会を設けたうえで、代替の可否を判断します。
医療材料の標準化には、購買部門だけでなく、医師・看護師・事務部門などの連携が欠かせません。<各部署で使用する理由や要望を確認し、評価結果や見直しの目的を共有します。
医療機関によっては、診療材料委員会などの会議・委員会を活用して、品目の集約方針や代替品の評価結果を検討する方法もあります。委員会の名称や意思決定の手順は医療機関ごとに異なりますが、医療上の必要性と経済性の両面から検討できる体制を整えることが重要です。
集約する品目が決まったら、対象部署や切り替え時期、旧製品の取り扱い、在庫の消化方法などを整理し、関係者へ周知します。切り替え後も、実際の使用状況や現場の意見を確認し、必要に応じて採用品目を見直します。標準化の効果を把握するためには、実施前後で次のような指標を比較するとよいでしょう。
これらの指標を継続的に確認することで、品目集約による効果と、新たに発生した課題を把握しやすくなります。
標準化を進める際には、データや運用体制だけでなく、医療現場との調整も重要になります。
医師によって使い慣れた製品や好みが異なり、品目の集約に時間がかかる場合があります。
一律に変更を求めるのではなく、製品の機能や使用感、医療上の必要性を確認し、代替可能な範囲を明確にすることが大切です。
価格だけで選定すると、品質や機能、使用感などの面で問題が生じる可能性があります。あらかじめ評価項目と判断基準を定め、医療上の必要性と経済性の両面から比較できるようにしましょう。
購入履歴や使用実績が部署ごとに分散していると、集約候補を適切に判断できないことがあります。まずは利用可能なデータを整理し、品目別の使用量や購入金額を把握する仕組みを整えることが重要です。
新しい採用品目が決まっても、旧製品が継続して発注されたり、部署ごとに異なる運用が残ったりすると、集約の効果が十分に得られない場合があります。切り替え時の周知や発注ルールの更新、定期的な運用状況の確認まで含めて計画する必要があります。
SPDは、医療材料の供給・在庫管理などを効率的に運用するための仕組みです。SPD事業者が提供するサービスや支援範囲によっては、標準化・品目集約の取り組みを進めるうえでも活用できます。
SPDの運用を通じて使用実績や在庫、購買に関するデータを把握できる場合、それらを分析し、品目集約の候補を検討するための材料として活用できます。
データを整理することで、使用頻度の低い品目や、同じ用途の製品が複数採用されている状況を把握しやすくなります。
SPD事業者が持つ物流管理や購買に関する知見を活用し、採用品目の見直しや代替品の検討を支援してもらえる場合があります。
ただし、提案できる範囲は事業者のサービスや契約内容によって異なります。代替品の選定では、医療上の安全性・品質・使用感・供給安定性などを確認し、医療機関側で適切に評価・判断することが重要です。
品目集約の実施後に、購入価格、在庫金額、廃棄額、使用実績などを継続的に確認できれば、取り組みの効果を評価しやすくなります。SPD事業者が提供するデータや分析支援を活用し、必要に応じて採用品目や在庫の持ち方を見直すことで、標準化を一度きりの取り組みで終わらせず、継続的な改善につなげられます。
なお、利用できるデータや支援内容は、SPD事業者や委託範囲によって異なります。導入を検討する際は、対応可能な業務と提供されるデータの範囲を事前に確認しましょう。
医療材料の標準化・品目集約は、医療上の安全性や必要な機能を確保しながら、院内の採用品目や規格を整理・適正化する取り組みです。適切に進めることで、在庫管理の負担軽減、保管スペースの有効活用、購買業務の効率化などにつながる可能性があります。
実施にあたっては、次のポイントが重要です。
また、SPD事業者が提供するデータや支援サービスを活用することで、品目集約の検討や効果測定を進めやすくなる場合があります。自院の採用品目数や在庫管理に課題を感じている場合は、現状の使用実績や購買状況を整理し、医療現場の意見を踏まえながら、標準化・品目集約に取り組んでみてはいかがでしょうか。

ここでは、SPDサービス導入のよくある目的別に各事業者の強み、他社との違いやおすすめの病院をまとめました。